鎌倉殿の13人に出てくる伊豆国の北条氏、伊東氏、工藤氏の一族を紹介します。北条氏はこのドラマの主役でもあります。主役の北条義時をはじめとして、関係者のご紹介をしておきます。
ドラマの初期では伊豆国での豪族の勢力を理解しておく必要がありますので、勢力を誇っていた、伊東一族、工藤一族を合わせて理解することでドラマの理解が進むことでしょう。
北条家の人々
このドラマの中心となる人々です。時政以前はほとんど知られておらず、伊豆国北部に勢力を有する小豪族でしたが、北条政子が源頼朝と結婚することで運命が大きく変わってきます。
北条時政(1138~1215) 坂東彌十郎
伊豆国の小豪族でしたが、最初は政子が頼朝と結婚することに反対しており、他家に嫁がせようとしましたが、政子が頼朝のもとへ逃亡したため、やむなく許すことになります。
しかしこれが一族の運命を大きく広げることになります。後妻牧の方の前に伊東の豪族伊東祐親の娘を妻にもらっています。
坂東彌十郎さんは今回大河ドラマ初出場です。北条時政という長丁場の複雑な役割をどのように演じるかが楽しみですが、かなりとぼけた性格として描かれているようです。
牧の方(生年没年不詳) 宮沢りえ
駿河国の沼津の豪族牧宗親の娘で、北条時政の後妻となります。子は北条政範の他、平賀朝賀、三条実宣、宇都宮頼綱の室があります。後に北条政子、義時と対立することになります。
宮沢りえさんは大河ドラマは1989年の春日局から5本出演されています。「江~姫たちの戦国~」では茶々から淀殿まで出演していますので、この癖のある役も楽しめるでしょう。
北条宗時(生年不詳~1180) 片岡愛之助
母は伊東祐親の娘であり北条時政の嫡男ですが、頼朝挙兵後の石橋山の戦いで敗れた後、落ち延びるときに伊豆国平井郷で祖父の伊東祐親軍に包囲されて討たれてしまいます。
平家の世の中に何とか立ち向かおうとする情熱に燃えた武者として描かれることが多いのですが、今回はもう少し愛嬌があるようです。
片岡愛之助さんは大河ドラマ3本目になります「真田丸「」で大谷吉継、「麒麟が来る「」で今川義元を演じています。
北条政子(1157~1225) 小池栄子
源頼朝の妻であり、源氏その後2代の母でもある。頼朝亡き後、鎌倉幕府の精神的支柱として幕府を支えてきた女丈夫です。このドラマの準主役です。情熱的かつ激しいとされている性格をどのように演じるかが見ものですね。
小池栄子さんは大河ドラマ2作目です。前回は「義経」で巴御前の役をされていました。今回は最後まで活躍されるでしょう。
北条時子
北条政子と同母の妹と言われています。頼朝の意向で足利義兼に嫁ぎます。足利義兼は頼朝の親戚として高い地位にありましたが、次第に御家人となっていきます。
まだキャストが決まっていません。
北条義時(1163~1224) 小栗旬
鎌倉殿の13人の主人公であり、13人の中では最年少になる人です。母は伊東祐親の娘になります。最初の頃はあまり目立ちませんが、徐々に頭角をあらわしていきます。
鎌倉幕府の政権争いの中でどの様に生き残っていくかが見どころになるでしょう。
小栗旬さんは大河ドラマ8作目です。「義経」のときは梶原景時の嫡男・梶原景季を演じられていました。直前では「日本沈没」でも主役として活躍していますので、今が旬の役者さんです。
姫の前、比奈(生年不詳~1207)堀田真由
比企氏一族の比企朝宗の娘で、大変な美貌でした。義時のたっての願いで正妻となります。
堀田真由さんはNHK連続テレビ小説『わろてんか』に出演したり、女性ファッション誌『non-no』(集英社)2020年3月号より専属モデルになっている方です。大河ドラマは初出演です。
阿波局(生年不詳~1227) 宮澤エマ
母は伊東祐親の娘になります。頼朝の異母弟である阿野全成に嫁ぎ、頼朝の次男である源実朝の乳母となります。
宮澤エマさんは大河ドラマ初出場です。映画でも時代劇は出ていないようですので、初めての体験になります。
北条時房(1175~1240)瀬戸康史
母は不明ですが、北条一門の中で次第に頭角をあらわしていきます。兄の北条義時、甥の北条泰時を支えていきます。
演ずるのは瀬戸康史さんです。妹さんがnon-noモデルで女優の瀬戸さおりさん、妻はモデル・女優の山本美月さんです。大河ラマは2011年の「江~姫たちの戦国~」に森蘭丸で出演しています。
北条政範(1189~1204)
母は時政の後妻である牧の方です。貴族出身の牧の方の子ということで、北条時政のこの中では、官位の高く重用されていましたが、16歳で病のため急死してしまいます。
まだキャストが決まっていません。途中で亡くなる役ですのでひょっとしたらカットされるかもしれません。
伊豆の豪族工藤・伊東一族
伊豆の豪族工藤氏と伊東氏はもともと同じ家だったのですが、伊東祐親と工藤祐経にはとても難しい関係がありました、やがてこれが大きな騒動になってしまいます。
伊東祐親(生年不詳~1182) 浅野和之
伊豆国の豪族工藤祐隆の嫡男祐家の子供でしたが、工藤祐隆の後妻の連れ子である伊東祐継を嫡男として本領の伊東荘を与え、祐親には次男として河津荘を与えられました。
祐親はこれを不満に思い、祐継亡き後、その子の祐経が京にいる間に、本領を奪ってしまいます。
祐経はこれを恨んで、1176年に祐親を襲撃しますが、祐親の嫡男祐泰が命を落としてしまいます。このような争いが後の曽我兄弟の仇討の原因となります。
頼朝挙兵時は平家の監視役でしたので、石橋山の戦いで頼朝を撃破します。しかしその後頼朝が勢力を盛り返すと、富士川の戦いの後捕らえられます。
一旦は周囲からの助命嘆願により赦されますが、これを潔しとせず自害します。
浅野和之さんは大河ドラマ3作目になります。辻萬長さんが亡くなったので急遽出演となりました。前半の重要な敵役ですので期待されるところです。
伊東祐泰(1146~1176)
伊東祐親の長男ですが、工藤祐経の刺客に父親祐親といるところを矢を射かけられて絶命します。
まだキャストが決まっていません。
伊東祐清(生年不詳~1183) 竹財輝之助
伊東祐親の次男ですが、頼朝の乳母である比企尼の3女を妻としたことから、頼朝と親交がありました。頼朝が八重姫の一件で伊東祐親に襲撃されたとき、事前に知らせて逃げさせています。
また、烏帽子親が北条時政であったことからこの時に北条時政を頼るように頼朝に知らせたとも言われています。となると、北条家にとっても頼朝にとっても大恩人ですね。
頼朝挙兵時は父祐親に従って頼朝討伐の立場を取ることになります。富士川の戦いの後、頼朝に父祐親とともに捕らえられます。
頼朝はかっての恩もあり、祐清には恩賞をあたえようとしますが、父が敵である以上恩賞を受けることはできないとし、平家に味方するため上洛し、北陸道の戦いで討ち死したと言われています。
親子ともにそれなりに筋が通っていましたね。
竹財輝之助は大河ドラマ「篤姫」に有栖川宮熾仁親王役で出演していました。今回も前半源頼朝を敵側に居ながら守るという役をしっかり演じられるでしょう。
八重姫(生年没年不詳) 新垣結衣
伊東祐親の三女になります。父親の祐親が京に大番で出かけていた時に、頼朝と通じ千鶴丸を生んでしまいます。
京から帰ってきた祐親は平家の咎めを恐れて激怒し、3歳になった千鶴丸を川に沈めて殺してしまいます。その後、他家に嫁に出されたとも亡くなったとも言われています。悲劇のヒロインです。
新垣結衣さんは今回のキャストでとても注目されています。大河ドラマ初出場で、前半でも前の部分でしか出てこないようですが、悲劇のヒロインとして期待しましょう。
善児 梶原善
伊東祐親に従う下人ですがどんな役割になるのか不明ですが、第1作では主人の命を受けて千鶴丸の殺害の実行犯でした。
梶原善さんは大河ドラマ3作目です。「平清盛」では平宗清を演じられています。
工藤祐経(1147~1193) 坪倉由幸
伊東祐親に伊東荘を奪われたため、刺客を放ち復讐しますが、祐親には当たらず、祐親の嫡男祐泰を殺してしまいす。
その後は京に逃れますが、伊東祐親が頼朝に処刑されたのち、頼朝に仕え伊東荘を取り戻します。
頼朝の寵臣として優遇されますが、1193年頼朝と富士の裾野で巻狩りをしていた際に、曽我と名前を変えていた伊東祐泰の遺児に襲われ父の仇として討たれます。これが曽我兄弟の仇討の物語です。
坪倉由幸さんは大河ドラマ初登場です。後半のエピソードの役割になります。
工藤茂光(生年不詳~1180) 米本学仁
伊豆の牧之郷を領有していた豪族です。保元の乱で大島に流罪になった源為朝を監視し、最後は追討しています。頼朝挙兵にあたって参加しますが、石橋山の戦いにおいて敗れて自害します。
米本学仁さんは大河ドラマ初出演になります。
その他、仁田忠常(1167~1203) 高岸宏行
伊豆国仁田郡の住人で、頼朝挙兵から加わっています。頼朝が伊豆国に配流になってからの地元の付き人のようなものだったのでしょう。
頼朝の死後、頼家に仕え、頼家の子一幡の乳母父となっています。比企の乱に際して比企能員を殺害しますが、逆に頼家からは北条時政討伐を命じられるなど複雑な役割になります。最後は時政に疑われて殺害されてしまいます。
高岸宏行さんはティモンディというお笑いコンビの一員です。向かって右側の188㎝、90kgの大柄な方です。ドラマとしても初出場になります。どんな演技になるか面白いですね。
鎌倉殿の13人の北条氏関係のキャストを紹介しますのまとめ
伊豆国の豪族、北条氏、伊東氏、工藤氏の主な登場人物を紹介してきました。
こうしてみてみると、狭い世界なのか、それぞれに姻戚関係を持ったり、相続をめぐって争ったり、とてもどろどろとした人間模様が背景にあることがわかります。
このような事情が分かるのと知らないのではドラマの理解度が相当違ってくるでしょう。
特に伊東氏と工藤氏の関係はとても重要ですし、これが後の曽我兄弟の仇討につながるとなると、よく理解しておくのも得かなと思います。