平家物語で平重盛にまつわる二つの刀。無文の太刀と宝刀「子烏」

アニメ平家物語

平重盛は武力に優れているばかりでなく理性ある行動で父平清盛の行きすぎを諫め役というのが定説です。アニメ平家物語においては過去の亡者を見ることができる目を備えています。

そんな晩年平家の滅亡を予言する行動に出ることになるのです。

平重盛が見た夢は

1179年(治承3年)4月7日に不思議な夢を見たそうです。重盛がある浜辺を歩いていると大きな鳥居がありました。そこでその鳥居について聞いてみると春日大明神の鳥居だというのです。

近寄ってみると法師が一つの首を高々と差し出しています。そしてこれを尋ねると、平清盛太政大臣入道の首だというのです。度重なる悪行が過ぎたため春日大明神が懲らしめたとのことだったのです。

重盛は目が覚めて、これまで平家が保元平治の乱以来数々の朝敵を征伐をして、現在の栄耀栄華を極めているのに、父清盛の悪行によってこの一門の栄も尽きるときが来るのかと思ったようでした。

ちょうどその時、家人の瀬尾太郎兼康が訪ねてきたのです。聞いてみると、不思議な夢を見たとのことです。内容を聞くとまさに重盛が見た夢とぴったり合うのです。

重盛は本当に平家の行く末に不安を感じたのでしょう。

平重盛が授けた無文の太刀

翌日嫡子の維盛が後白河法皇のところに出かけようとすると、父の重盛からお呼びがかかります。維盛が父のところに行くと、重盛は居住まいを正して、維盛に告げます。

維盛は兄弟の中では物事を冷静に判断できるので話しておこうと思う。そして、酒を進めるべきなのだが、父より先にいただくわけにはいかないだろうからと、先に飲んで、維盛に勧めます。

重盛が嫡子維盛に伝えたこと

その後、維盛に太刀を取らせることにします。事情が分からない維盛はもしやこれは、平家に伝わる家宝の「子烏」ではないかと秘かに喜びますが、中を検めてみると、違うのです。

失望で少し気色ばんだ維盛に対して重盛は伝えます。

これは太刀を間違えたのではない。「無文の太刀」と言って、大臣の葬儀の時に用いるものである。私が清盛太政大臣入道の葬儀に際して帯びるために用意していたものであるが、どうやら私が帯びる前に先立つことになりそうなので、維盛にあたえるのだ。

こんなことを聞かされた維盛はもはや何も言うことはできなくなり、その日は出かけるともなく伏せってしまったのです。

こんなことを突然聞かされた維盛のショックは大きかったと思いますが、重盛も既に体調に気が付いていたのだろうと思います。

重盛の熊野詣

その後、重盛は熊野詣に出かけます。その時にはすっかり覚悟を決めていたようで熊野権現に頼むことになります。既に父清盛は位を極め悪業を犯しています、私としては父を諫めてきましたがそれも無理があります。

このままでは父が栄華を独り占めし、子々孫々一門が滅んでしまうことになるでしょう。どうか、父の悪行をやめさせて天下に平和をもたらしてください。

それが無理なら平家一門が将来滅びてしまうことになります。その際には不肖私の命を削ってそれを見ないで済むようにお計らいください

このような祈願をしたといわれています。そして、その際に重盛の体から青い炎が飛び出したと言われています。

また、帰りに岩田川を渡る際に、維盛以下公達が水遊びをしたので、淨衣が濡れて、中の薄紫が透けて見えたため、まるで喪服のように見えたといわれています。

家来が衣服を改めさせようとしますが、重盛は自分の願いはかなえられたのでする必要がないとそのままにしておきました。

重盛の最後

そして、熊野詣からほどなくして、重盛は病に伏せって7月29日に42歳で亡くなってしまったのです。このように重盛は清盛と後白河法皇の間に立ってストレスを受けた結果亡くなったと考えられています。

平家に伝わる家宝の名刀「小烏」とは

重盛から維盛が無文の太刀を受け取る際に、ひょっとして「小烏」ではと期待したことがありますよね。これは、平家に家宝として代々伝わるものです。そのいわれは次のようなものです。

桓武天皇の頃、天皇の前に八咫烏が飛んできて、そこに居なくなった時に太刀が置いてあったそうです。そのためこれを「小烏」と称して宮中で保管されていました。

平将門の乱のときにこれを征伐するため、平貞盛が宮中から預かることになります。実際は将門は流れ矢で亡くなったとされていますが、言い伝えでは将門が分身の術を使ってわからなくなった時に、兜に烏の目印があるものを斬ったところ、将門を成敗することができたとも言われています。

そのおかげで、代々「子烏」は平家に伝わる家宝となったと言われています。しかし、この刀も草薙剣と同様壇ノ浦で沈んでしまって、行方が分からなくなりました。

しかしながら、400年後、伊勢神宮で発見されたといわれ、現在宮内庁に保管されているといわれています。

刀の特徴としては、後世の刀のように反りは強くなく、先端部分が両刃になっているそうです。

平家物語で平重盛にまつわる二つの刀。無文の太刀と宝刀「子烏」の逸話のまとめ

平家の側にあって平重盛は評判の良い役割でしたが、父平清盛と後後白河法皇の調整に疲れ果てたようでした。重盛の死はそのまま、清盛と後白河法皇の対立の激化を招き、法王はついに幽閉されるところまで行ってしまいます。

しかしながら、清盛も2年後には亡くなってしまい、ここから平家の凋落が始まります。重盛の願いの通り一族の滅亡を見ることを避けられたのですが。

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